管理業務の受託(全22問中8問目)

No.8

特定転貸事業者の貸主への報告に関する次の記述のうち、特定賃貸借標準契約書によれば最も適切なものはどれか。ただし、特約はないものとする。
令和3年試験 問35
  1. 貸主との合意に基づき定めた期日において、賃貸住宅の維持保全の実施状況や転貸条件の遵守状況、転借人からの転借料の収納状況について、貸主に対し書面を交付して定期報告を行わなければならない。
  2. 貸主は、借主との合意に基づき定めた期日以外であっても、必要があると認めるときは、借主に対し、維持保全の実施状況に関して報告を求めることができる。
  3. 修繕を必要とする箇所を発見した場合、それが緊急を要する状況ではなかったときには、定期報告において貸主に書面を交付して報告を行うことができる。
  4. 自然災害が発生し緊急に修繕を行う必要が生じたため、貸主の承認を受ける時間的な余裕がなく、承認を受けずに当該業務を実施したときは、貸主への報告をする必要はない。

正解 2

解説

  1. 不適切。書面の交付は必須ではない点、転借料の収納状況は報告内容ではない点で間違っています。借主である特定転貸事業者は、貸主と合意に基づき定めた期日に、貸主と合意した頻度に基づき定期的に、貸主に対し、維持保全の実施状況や転貸の条件の遵守状況を報告するとされていますが、書面を交付することまでは求められていません。また、転借料の収納状況は、特定転貸事業者と転借人との間の問題であり、原貸主には関係がありませんから報告の内容とされていません(13条1項)。
  2. [適切]。貸主は、借主である特定転貸事業者との合意に基づき定めた期日以外であっても、必要があると認めるときは、特定転貸事業者に対し、維持保全の実施状況に関して報告を求めることができるとされています(13条2項)。
  3. 不適切。借主である特定転貸事業者は、修繕が必要な箇所を発見した場合には、その旨を速やかに貸主に通知するとされています。「速やかに」ですので、定期報告を待つのではなくその都度迅速に報告を行うことになります(11条5項)。
  4. 不適切。借主である特定転貸事業者は、災害又は事故等の事由により緊急に行う必要がある業務で、貸主の承認を受ける時間的な余裕がないものについては、貸主の承認を受けないで実施することができるとされています。このとき特定転貸事業者は、速やかに書面をもって、その業務の内容及びその実施に要した費用の額を貸主に通知しなければなりません(11条7項)。
したがって適切な記述は[2]です。