賃貸住宅管理業者(全32問中4問目)

No.4

管理受託契約の契約期間中に変更が生じた場合の賃貸住宅管理業者の対応に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
令和5年試験 問4
  1. 契約期間中に再委託先を変更したが、賃貸人に変更を通知しなかった。
  2. 管理受託契約が締結されている賃貸住宅が売却されて賃貸人が変更されたが、当該管理受託契約には変更後の賃貸人に地位が承継される旨の特約があったため、変更後の賃貸人に、管理受託契約の内容を記載した書面を交付しなかった。
  3. 契約期間中に賃貸住宅管理業者が商号を変更したが、組織運営に変更のない商号変更だったので、賃貸人に対し、その旨を通知しただけで、賃貸人に管理受託契約の締結時に交付する書面を再び交付することはしなかった。
  4. 賃貸住宅管理業法施行前に締結された管理受託契約であったため、それまで契約の事項を記載した書面を交付していなかったが、管理業務の報酬額を変更するにあたり、賃貸人に変更後の報酬額のみを記載した書面を交付した。

正解 3

解説

  1. 不適切。再委託先が変更された場合、賃貸人に対する通知が必要です。
    管理業務の一部の再委託に関する事項は、管理受託契約重要事項説明の内容となっていて、再委託する業務内容や再委託予定者を明示することになっています。再委託先の変更は重要事項の変更となりますが、再委託先の変更は形式的な変更と考えられるため当該変更が生じた場合に改めて重要事項説明を実施する必要はなく、再委託先が変更されたときに書面又は電磁的方法により賃貸人に通知をすれば足りるとされています(FAQ-事業関連(受託管理)(2)No.15)。
  2. 不適切。管理受託契約に変更後の賃貸人に地位が承継される旨の特約がある場合において、契約期間中に賃貸住宅のオーナーチェンジがあった場合、遅滞なく、新たな賃貸人に当該受託契約の内容が分かる書類を交付することが望ましいとされています。これに対して、地位の承継に関する特約がない場合には、新たな賃貸人との間で新規に管理受託契約が締結されることになるため、管理受託契約重要事項説明及びび管理受託契約締結時書面の交付を行う必要があります(FAQ-事業関連(受託管理)(2)No.16)。
  3. [適切]。管理受託契約重要事項説明は、管理受託契約を変更しようとするときでも原則として必要ですが、契約の同一性を保ったままで契約期間のみを延長することや、組織運営に変更のない商号又は名称等の変更等、形式的な変更と認められる場合は、重要事項説明を省略することができます(解釈運用の考え方-第13条関係1)。
  4. 不適切。賃貸住宅管理業法の施行前に締結された管理受託契約については、契約内容を変更しない限りは、改めて重要事項説明等を行う必要はありません。しかし、報酬額その他重要事項説明の内容となっている事項を変更しようとする場合には、全ての事項について重要事項説明を行い、変更契約の締結後に契約締結時書面の交付が必要となります(解釈運用の考え方-第13条関係1)。
したがって適切な記述は[3]です。