特定転貸事業者(全18問中6問目)

No.6

特定賃貸借契約における建物所有者の金銭負担等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
令和5年試験 問38
  1. 特定転貸事業者が行う維持保全について、費用負担者が設備により異なる場合は、特定賃貸借契約重要事項説明書には設備ごとの負担者を記載しなければならない。
  2. 特定賃貸借契約で定める引渡日に物件を引き渡さないことで建物所有者が負うことになる違約金を定める場合は、その内容を特定賃貸借契約重要事項説明書に記載しなければならない。
  3. 特定賃貸借契約を、定期建物賃貸借により締結する場合、家賃は減額できない旨の特約を定めていても、特定転貸事業者は家賃の減額請求ができる場合があることを建物所有者に説明しなければならない。
  4. 特定転貸事業者が維持保全を行う設備について、経年劣化の修繕費用を建物所有者の負担とする場合、その旨を特定賃貸借契約重要事項説明書に記載しなければならない。

正解 3

解説

  1. 正しい。特定賃貸借契約重要事項説明書の記載内容として「賃貸住宅の維持保全に要する費用の分担に関する事項」があります。具体的には、特定転貸事業者が行う維持保全の具体的な内容や設備ごとに、賃貸人と特定転貸事業者のどちらが、それぞれの維持や修繕に要する費用を負担するかについて記載し、説明することになっています(解釈運用の考え方-第30条関係2(5))。
  2. 正しい。特定賃貸借契約重要事項説明書の記載内容として「損害賠償額の予定又は違約金に関する事項」があります。具体的には、引渡日に物件を引き渡さない場合や家賃が支払われない場合等の債務不履行や契約の解約の場合等の損害賠償額の予定又は違約金を定める場合はその内容を記載し、説明することになっています(解釈運用の考え方-第30条関係2(7))。
  3. [誤り]。定期建物賃貸借では、賃借人から借賃の減額請求ができない旨の特約も有効に定めることができます(借地借家法38条9項)。このため、定期建物賃貸借として特定賃貸借契約を締結する場合、①特定転貸事業者から家賃の減額を請求できない特約を定められること、②契約期間の満了をもって契約を終了できること、③賃貸人からの途中解約は原則としてできないこと、を重説の内容として記載し、説明する必要があります(解釈運用の考え方-第30条関係2(14))。
  4. 正しい。維持保全の実施状況の報告に関する事項」が重説の対象となっており、記載内容は賃貸人が費用負担について誤認しないように明確に記載する必要があります。賃貸人負担となる経年劣化や通常損耗の修繕費用がある場合には、どのような費用が賃貸人負担になるかについて具体的に記載し、説明することになっています(解釈運用の考え方-第30条関係2(5))。
したがって誤っている記述は[3]です。