賃貸借契約(全28問中19問目)

No.19

定期建物賃貸借契約に関する次の記述のうち、適切なものの組合せはどれか。
  1. 定期建物賃貸借契約の事前説明において「更新がなく、期間の満了により契約が終了する」旨を記載した書面を交付して口頭で説明したとしても、賃貸借契約書に「更新がなく、期間の満了により契約が終了する」旨の記載がなければ、更新がない定期建物賃貸借契約として有効に成立しない。
  2. 定期建物賃貸借契約は、書面又は電磁的記録によって締結すれば有効であり、必ずしも公正証書によって締結する必要はない。
  3. 契約期間を1年とする定期建物賃貸借契約においては、借地借家法第38条第4項に基づく終了通知は必要とされない。
  4. 定期建物賃貸借契約の保証人は、定期建物賃貸借契約が期間満了後に再契約された場合、引き続き、保証債務を負担する旨を口頭で承諾したときは、再契約後の債務について保証債務を負う。
平成29年試験 問12
  1. ア、イ
  2. ア、ウ
  3. イ、ウ
  4. ウ、エ

正解 1

解説

  1. 適切。定期建物賃貸借契約を締結するには以下の2つが必要です。
    1. 契約前に「更新がなく、期間の満了により契約が終了する」旨を記載した書面を交付し、又は記載内容を電磁的方法により提供して説明する
    2. 書面又は電磁的記録で契約し、その中に「契約の更新がないこととする」旨を定める
    事前説明を行っていても、賃貸借契約書にも同様の記載がなければ定期建物賃貸借契約としては無効です。この場合、普通建物賃貸借契約となります。なお、この2つの書面は別個のものである必要があります。
  2. 適切。定期建物賃貸借契約は、公正証書による等書面(電磁的記録による場合を含む)によって契約することが要件となっています。書面であれば公正証書による必要はありません。書面でない場合は普通建物賃貸借契約となり、貸主側にとって正当事由がなければ更新が拒否できない場合があります。
  3. 不適切。存続期間1年以上の定期建物賃貸借契約においては、期間満了の1年から半年前までの間に終了通知をしなければ、定期建物賃貸借契約の終了を借主に対抗することができません。終了通知が必要とされないのは期間1年未満の定期建物賃貸借契約です。
  4. 不適切。再契約を行う場合は、これまでの定期建物賃貸借契約とは別の新たな契約になり、保証人の保証契約も再契約が必要です。その場合、保証債務に関する保証契約については書面又は電磁的記録で行う必要があるため、口頭で承諾した場合は再契約後の保証債務については負わないこととなります。
したがって適切なものの組合せは「ア、イ」です。