賃貸不動産経営管理士(全17問中4問目)

No.4

賃貸不動産経営管理士に求められるコンプライアンスに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
令和4年試験 問46
  1. 日頃から人権問題に関心を持ち、人権意識を醸成して自らの専門性を発揮するとともに、貸主に対しては差別が許されないことを十分に理解してもらい、自社の他の従業員に対して積極的に指導を行うなどして、賃貸住宅管理業界全体の社会的役割の実現と人権意識の向上に努めるべきである。
  2. 賃貸不動産経営管理士は、関係する法令やルールを遵守することはもとより、賃貸住宅管理業に対する社会的信用を傷つけるような行為や社会通念上好ましくない行為をしてはならないが、情報化社会の進展を背景として、自らの能力や知識を超える業務を引き受けることも認められる。
  3. 管理業者が貸主からの委託を受けて行う管理業務は法律的には代理業務にあたることから、管理業者はもとより賃貸不動産経営管理士も当事者間で利益が相反するおそれに留意する必要がある。
  4. 所属する管理業者から、賃貸不動産経営管理士としてのコンプライアンスに基づけば選択するべきではない管理業務の手法を要請された場合、その非を正確な法令知識等に基づいて指摘するなど、高度の倫理観に基づき業務を行うべきである。

正解 2

解説

  1. 適切。賃貸不動産経営管理士は、日頃から人権問題に関心を持ち、人権意識を醸成して自らの専門性を発揮するとともに、貸主に対しては差別が許されないことを十分に理解してもらい、自社の他の従業員に対して積極的に指導を行うなどして、賃貸住宅管理業界全体の社会的役割の実現と人権意識の向上に努めなければなりません。
  2. [不適切]。関係する法令やルールを遵守することはもとより、賃貸住宅管理業に対する社会的信用を傷つけるような行為や社会通念上好ましくない行為をしてはならないという前半は正しいですが、後半部分の自らの能力や知識を超える業務を引き受けるのは、賃貸不動産経営管理士倫理憲章の「六.能力を超える業務の引き受け禁止」に反するため不適切です。
  3. 適切。管理業者が委託を受けて行う管理業務は法理上の代理行為に該当します。代理行為をする場合、利益相反行為に当たる自己契約・双方代理、代理権の乱用などが禁止されているため、賃貸不動産経営管理士もこれらの規定に違反することのないよう業務に当たる必要があります。
  4. 適切。コンプライアンス上望ましくない管理業務の手法を要請された場合、賃貸不動産経営管理士は、管理業者に対し正確な法令知識に基づいて指摘を行って、コンプライアンスに沿った対応を実現するなど、独立したポジションでのコンプライアンスを確立することが求められます。
したがって不適切な記述は[2]です。