賃貸借契約の管理(全18問中15問目)

No.15

未収賃料の回収に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
平成28年試験 問22
  1. 未収賃料を回収する目的で、管理業者が借主の承諾を得ずにドアの鍵部分にカバーをかけ、借主の入室が困難な状態にした場合、管理業者が損害賠償責任を負うことはあっても、貸主が損害賠償責任を負うことはない。
  2. 連帯保証人に対して連帯保証債務の履行として未収賃料を請求する場合、請求に先立ち借主に賃料の支払の履行を求めなくてもよい。
  3. 管理受託方式により賃貸管理を行っている管理業者は、管理業者の名前で借主に対して未収賃料の回収のための内容証明郵便を発信することができない。
  4. 賃貸借契約書に「賃料を滞納した場合、賃貸借契約は直ちに解除され、貸主は貸室の鍵を交換することができる。」と定められていても、貸主がこの規定を根拠に貸室の鍵を交換すれば損害賠償責任を負うことがある。

正解 1

解説

  1. [誤り]。管理業者が借主の承諾を得ずにドアの鍵部分にカバーをかけ、借主の入室が困難な状態にした場合、管理業者のみならず貸主にも不法行為責任が認められることがあります。実際に本肢の事例で貸主の使用者責任を認めた判例があります。
  2. 正しい。連帯でない保証人には、保証人が未収賃料請求された場合に、貸主に対して「先に借主に履行を催告せよ」と主張する権利(催告の抗弁権)がありますが、連帯保証人には催告の抗弁権はないため、先に借主に賃料の支払の履行を求める必要はありません。
  3. 正しい。管理受託方式の場合、管理業者が、その名において内容証明郵便を発信したり、訴訟を提起したりすることは弁護士法に抵触する可能性があるとされています。
  4. 正しい。賃貸借契約書に「賃料を滞納した場合、賃貸借契約は直ちに解除され、貸主は貸室の鍵を交換することができる。」と定められている場合、自力救済を認める条項が公序良俗に違反し無効となる可能性があります。また、その状況にて自力救済(部屋の鍵交換)を行った場合、損害賠償責任を負うことがあります。
したがって誤っている記述は[1]です。