原状回復ガイドライン(全21問中20問目)

No.20

「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(以下、本問において「ガイドライン」という。)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
平成27年試験 問24
  1. 原状回復の取扱いについて、ガイドラインの内容と異なる特約を定めても無効である。
  2. ガイドラインの考え方によれば、借主の故意過失等による損耗であっても、借主の負担については、原則として建物や設備等の経過年数を考慮し、年数が多いほど負担割合が減少することとなる。
  3. ガイドラインの考え方によれば、借主がクロスに故意に落書きを行ったとしても、当該クロスが耐用年数を超えている場合には、これを消すための費用(工事費や人件費等)については、借主の負担とすることができない。
  4. ガイドラインの考え方によれば、クロスの張替えの場合、借主の負担とすることができるのは毀損箇所の張替費用に限定されるのであって、それを超えて毀損箇所を含む一面分の張替費用を、借主の負担とすることはできない。

正解 2

解説

  1. 不適切。ガイドラインは一般的な基準を定めたもので強制力はありません。原状回復の取扱いについてガイドラインの内容と異なる特約であっても、各法の強行規定に反しない内容であれば、双方の合意により有効となります。
  2. [適切]。借主の故意過失等による損耗であっても、借主の負担については、原則として建物や設備等の経過年数が考慮されます。このため、同じ損耗等であっても、経過年数に応じて負担が軽減されます。
  3. 不適切。耐用年数を超えた設備等であっても使用可能な場合があり、それを借主が故意過失(善管注意義務違反)により破損し、使用不能にしてしまった場合には、その原状回復費用が借主負担となることがあります。
    ガイドラインとしてはこの一例として、賃借人がクロスに故意に行った落書きを消すための費用(工事費や人件費等)などについては、賃借人の負担となることがあるものとしています。
  4. 不適切。クロスの張替えでは、毀損箇所を含む一面分の張替費用を借主の負担とすることができます。毀損箇所が一部であっても他の面との色や模様合わせの関係から、全体の張替えを要することがあるためです。
したがって適切な記述は[2]です。