賃貸借契約(全28問中1問目)

No.1

次の記述のうち、居住用賃貸借契約に定める約定として不適切なものはいくつあるか。
  1. 賃借人が支払を怠った賃料の合計額が賃料3か月分以上に達したとき、賃貸人は無催告にて賃貸借契約を解除し、賃借人の残置物がある場合はこれを任意に処分することができる。
  2. 賃借人が支払を怠った賃料の合計額が賃料3か月分以上に達したとき、連帯保証人は、無催告にて賃貸借契約を解除し、賃借人の残置物がある場合はこれを任意に処分することができる。
  3. 賃借人が契約期間満了日に貸室を明け渡さなかった場合、賃借人は契約期間満了日の翌日から明渡しが完了するまでの間、賃料相当額の損害金を賃貸人に支払うものとする。
  4. 賃借人が契約期間満了日に貸室を明け渡さなかった場合、賃借人は契約期間満了日の翌日から明渡しが完了するまでの間、賃料の2倍相当額の使用損害金を賃貸人に支払うものとする。
令和5年試験 問7
  1. 1つ
  2. 2つ
  3. 3つ
  4. 4つ

正解 2

解説

  1. 不適切。一般的には、賃貸借において3か月分程度の賃料不払いがあることが、信頼関係が破壊されたとして契約解除できる要件とされています。ただし、その場合でも相当の期間を定めて催告を行った後でなければ、契約を解除することはできません。また、残置物は賃借人の所有物ですから、何ら同意なく勝手に処分すると所有権の侵害に当たることになります。
  2. 不適切。賃貸借契約の当事者は、賃貸人と賃借人ですから、たとえ賃料不払いが続いたとしても、契約に特段の定めがない限り、連帯保証人が賃貸借契約を解除することはできません。残置物の処分に関しては、肢1と同様に勝手にすることはできません。
  3. 適切。賃借人が契約期間終了後も貸室に居続けている場合、賃借人は不当利得を得たことになりますから、賃貸人は、明渡しが完了するまでの期間の賃料相当額の損害金の支払いを求めることができます。
  4. 適切。賃借人に対して明渡し完了までの期間の賃料相当損害金を請求する場合、一般的に賃料等の2倍までであれば不当とは言えず、消費者契約法による無効の対象とならないとされています(東高平25.3.28)。したがって、特約としては有効なものとなります。
したがって不適切なものは「2つ」です。