賃貸借契約(全28問中21問目)

No.21

借地借家法の適用のある建物賃貸借契約の特約の有効性に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
平成28年試験 問13
  1. 賃貸借契約の締結と同時に設定される「期間満了時に賃貸借が解約される」旨の特約は無効である。
  2. 法令により一定の期間を経過した後に建物を取り壊すべきことが明らかな場合で、この建物を目的物とする賃貸借契約を書面又は電磁的記録により締結するときに、建物取壊時に賃貸借契約が終了する旨の特約を定めても、定期建物賃貸借契約の要件を満たしていない限り、その特約は無効である。
  3. 借主が貸主の同意を得て賃貸不動産に設置した造作について、借地借家法第33条1項に基づく造作買取請求権を排除する旨の特約は有効である。
  4. 更新について合意が成立しない場合には、賃貸借契約が期間満了と同時に当然終了する旨の特約は無効である。

正解 2

解説

  1. 適切。借地借家法では、期間の定めがある建物賃貸借であっても、期間満了をもって当然に終了となるわけではありません。貸主側から解約をする場合には期間1年以上の場合は、期間満了の1年から6カ月前までに貸主から借主に対しての通知が必要ですし、正当事由も必要です。この特約は明らかに借主が不利ですので無効となります。
  2. [不適切]。法令により一定の期間を経過した後に建物を取り壊すべきことが明らかな場合で、この建物を目的物とする賃貸借契約を書面又は電磁的記録により締結するときに、建物取壊時に賃貸借契約が終了する旨の特約を定めた場合は、その特約は有効です。なお、この賃貸借契約が、定期建物賃貸借契約の要件を満たしていなくても有効です。
  3. 適切。造作買取請求権については任意規定のため、普通建物賃貸借・定期建物賃貸借のどちらでも特約で排除することが可能です。
  4. 適切。貸主からの更新拒絶には、期間満了の1年から6カ月前までの通知および正当事由が必要です。また、合意が成立せず、期間満了後に借主が使用継続しているときには、貸主が遅延なく意義を申し立てることも必要です。この特約は明らかに借主が不利ですので無効となります。
したがって不適切な記述は[2]です。