賃貸借契約(全28問中9問目)

No.9

定期建物賃貸借契約に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、事前説明の書面には、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供する場合を含むものとする。
令和3年試験 問26
  1. 中途解約特約のある定期建物賃貸借契約において、貸主は契約期間中であっても、正当事由を具備することなく契約を解約することができる。
  2. 定期建物賃貸借契約書は、同契約を締結する際に義務付けられる事前説明の書面を兼ねることができる。
  3. 賃貸借の媒介業者が宅地建物取引業法第35条に定める重要事項説明を行う場合、定期建物賃貸借契約であることの事前説明の書面は不要である。
  4. 定期建物賃貸借契約において、賃料減額請求権を行使しない旨の特約は有効である。

正解 4

解説

  1. 誤り。定期建物賃貸借であっても賃貸人からの解約には正当事由が必要です。中途解約特約があっても同様です(借地借家法28条)。
  2. 誤り。定期建物賃貸借契約を締結するには、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して、又は記載内容を電磁的方法により提供して説明しなければなりません。この書面は契約書と別個の書面である必要があります(最判平24.9.13)。
  3. 誤り。定期建物賃貸借契約であることの事前説明は、賃貸人が賃借人に対して行う必要があり、媒介業者が重要事項説明で定期建物賃貸借である旨を説明したとしても、それだけでは事前説明を行ったことにはなりません。
  4. [正しい]。定期建物賃貸借で賃料改定に係る特約がある場合、賃料減額請求権に関する規定が適用外となります。この結果、特約の内容が有効となります(借地借家法38条7項)。
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したがって正しい記述は[4]です。