貸主・借主の権利義務(全12問中4問目)

No.4

賃貸物件の修繕に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
令和2年試験 問23
  1. 賃貸物件が借主の責めにより修繕を要することになった場合、貸主は修繕義務を免れる。
  2. 賃貸物件につき雨漏りが生じ、貸主が修繕する場合、借主はこれを拒めない。
  3. 借主が修繕の必要性を貸主に通知し、貸主がその旨を知ったにもかかわらず相当期間内に修繕をしない場合、借主は賃貸物件の使用収益ができない範囲で賃料の支払を拒絶することはできるが、自ら修繕することはできない。
  4. 貸主は、大地震により賃貸物件の一部が破損した場合でも、当該部分の修繕義務を負う。

正解 3

解説

  1. 正しい。貸主には賃貸物の使用収益のために必要な修繕をする義務がありますが、借主の責めに帰すべき事由によって必要になった修繕についてはこの限りではありません。したがって、借主に帰責事由のある修繕については、貸主は修繕義務を負いません(民法606条1項)。
  2. 正しい。雨漏り等の修繕は賃貸物の保存に必要な行為に該当し、修繕することは貸主の権利、その修繕を受忍することは借主の義務でもあることから借主はこれを拒むことはできません(民法606条2項)。
  3. [誤り]。借主が修繕の必要性を貸主に通知し、貸主がその旨を知ったにもかかわらず相当期間内に修繕をしない場合、または急迫な事情がある場合は、借主が自ら修繕することができます(民法607条)。
  4. 正しい。大地震等の自然災害や天変地異等、不可抗力により賃貸物件の一部が破損した場合でも、修繕が物理的または経済的に不可能なときを除き、貸主は当該部分の修繕義務を負います(民法606条1項、最判昭41.4.8)
したがって誤っている記述は[3]です。