賃料・敷金等の一時金 (全10問中7問目)

No.7

敷金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
平成30年試験 問17
  1. 賃貸借契約書に借主からの敷金の相殺について禁止する条項がない場合、借主は契約期間中、敷金返還請求権と賃料債務を相殺することができる。
  2. 賃貸借契約書に敷金の返還時期について何らの定めもない場合、借主は敷金の返還を受けるまでの間、建物の明渡しを拒むことができる。
  3. 借主の地位の承継があったとしても、特段の事情のない限り、敷金は新借主に承継されない。
  4. 賃貸借契約書に敷金によって担保される債務の範囲について何らの定めもない場合、敷金によって担保される借主の債務は賃料債務に限定され、貸主は原状回復費用に敷金を充当することはできない。

正解 3

解説

  1. 誤り。敷金は賃貸借契約が終了し、建物を明渡した後に返還されるものですので、契約期間中に敷金返還請求権と賃料債務を相殺することはできません(民法622条の2第2項)。
  2. 誤り。敷金の返還と建物の引渡しは同時履行の関係にありません(建物の明渡しが先履行)。よって、敷金の未返還を理由として建物の明渡しを拒むことはできません。
  3. [正しい]。敷金は特段の事情がない限り新しい借主に承継されません。敷金が承継されるとなると旧借主の金銭で、新借主の債務を担保することになり、旧借主に不測の損害が生じる可能性があるためです。
  4. 誤り。敷金は、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で交付される金銭です(民法622条の2第1項)。賃料債務だけでなく、原状回復費用や明渡し遅滞損害金等にも充当することもできます。
したがって正しい記述は[3]です。