賃料・敷金等の一時金(全15問中7問目)

No.7

賃料の供託に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
令和2年試験 問21
  1. 貸主に賃料を受領してもらうことが期待できない場合、借主は直ちに供託することができる。
  2. 自身が貸主であると主張する者が複数名おり、借主が過失なく貸主を特定できない場合、借主はそのうちの一人に賃料を支払えば賃料支払義務を免れるため、賃料を供託することができない。
  3. 貸主は、いつでも供託金を受領することができる。
  4. 供託所は、借主により供託がなされた場合、遅滞なく、貸主に供託の事実を通知しなければならない。

正解 3

解説

  1. 誤り。供託は以下のいずれかの場合にすることができます(民法494条)。
    1. 弁済の提供をした場合において、債権者がその受領を拒んだとき
    2. 債権者が弁済を受領することができないとき
    3. 弁済者が過失なく債権者を確知することができないとき
    貸主が賃料受領を拒む意思を見せていても、原則として一度は口頭で弁済の提供(弁済の準備をしたことを通知し、その受領を催告)をした後でなければ供託はできません。ただし、弁済の提供をしても貸主が受領しないことが明らかであるときは、直ちに供託することが可能です。選択肢は「期待できない」という段階であり、受領しないことが明らかであるとは言えないので、弁済の提供をせずに供託することはできません。
  2. 誤り。肢1の供託できる条件③のとおり、弁済者が過失なく債権者(貸主)を確知することができないときは供託をすることができます(民法494条2項)。
  3. [正しい]。賃料が供託された場合、貸主は供託所に還付請求をすることでいつでも供託金を受領することができます。具体的には、払渡請求書に供託通知書等を添えて供託所に提出すればよいです(民法498条1項)。
  4. 誤り。供託をした場合に債権者(貸主)に通知を行うのは弁済者(借主)であり、供託所ではありません(民法495条3項)。
したがって正しい記述は[3]です。