賃貸借の終了 (全10問中10問目)

No.10

賃貸借契約の解除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
平成27年試験 問25
  1. 借主が貸主に賃料を支払わなかったために、賃料保証会社が貸主に未払賃料全額を支払った場合には、その時点で賃料の滞納がない以上、貸主は賃貸借契約を解除することはできない。
  2. 貸主が、6ヵ月分の賃料として60万円を滞納している借主に対し「滞納賃料60万円を本通知書到達後7日以内にお支払い下さい。万一支払がないときは、契約解除をいたしますことを申し添えます。」という通知をした場合、通知書が到達してから7日以内に支払がなかったときは、あらためて解除通知することなく、賃貸借契約は解除により終了する。
  3. 賃貸借契約が解除されると、契約当初から賃貸借契約が存在しなかったことになる。
  4. 債務不履行に基づき賃貸借契約を解除するためには、原則として解除権行使に先立ち、催告をしなければならないが、信頼関係が破壊されたと明らかに認められる場合には、催告しないで解除することができる例外が認められる。

正解 4

解説

  1. 不適切。借主が貸主に賃料を支払わなかったことにおいて、借主と貸主の間には債務不履行が発生するため、たとえ賃料保証会社が貸主に未払賃料全額を支払った場合であっても契約の解除が可能となります(最判平26.6.26)。
  2. 不適切。本肢の通知は「契約解除予告付き催告」と呼ばれるものです。このタイプは契約解除に先立つ催告にすぎないため、通知書が到達してから7日以内に支払がなかったときであっても、あらためて解除通知する必要があります。
    期限経過をもって自動的に契約解除するには「あらためて解除通知をすることなく、期限の経過をもって当然に賃貸借契約が解除される」旨の通知(条件付契約解除通知)を行う必要があります。
  3. 不適切。一般的な契約では、解除されると契約が当初から存在しなかったことになり当事者に原状回復義務が生じます。しかし、賃貸借契約の解除に原状回復を求めると権利関係が複雑になるので、民法では賃貸借契約の特則として、解除の効力は、契約当初からではなく解除後の将来に向かってのみ生じると定めています(民法620条)。
  4. [適切]。債務不履行に基づき賃貸借契約を解除するためには、原則として解除権の行使に先立ち、催告をしなければなりません(民法541条)。しかし、信頼関係が破壊されたと明らかに認められる場合等には、お互いにとって契約の存続が難しいため、無催告解除することができます。その他、履行不能になった場合、相手方が履行を拒絶する意思を明確に表示したとき等にも無催告解除が認められています(民法542条)。
したがって適切な記述は[4]です。