賃貸借の終了(全12問中10問目)

No.10

賃貸借契約の解除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
平成28年試験 問23
  1. 賃貸借契約を解除する場合、借主に対して解除の意思表示を行えば、その意思表示が借主に到達していなくても効力が生じる。
  2. 賃貸物件が共有の場合には、賃貸借契約を解除するためには、貸主たる共有者全員の同意が必要である。
  3. 解除の意思表示は、撤回することができない。
  4. 賃貸借契約に「賃料の支払を1ヵ月でも滞納すれば、貸主は催告をしないで賃貸借契約を解除することができる。」旨を定めておけば、貸主は、この規定を根拠に賃貸借契約を無催告で解除することができる。

正解 3

解説

  1. 不適切。契約解除は、相手方に対する意思表示を要し、意思表示が相手方に到達した時点で効力が生じます(民法540条1項、民法97条)。
  2. 不適切。解除権の行使は共有物の管理行為に当たります。賃貸不動産が共有物である場合、過半数の共有持分を有する共有者が解除権を行使することができます。共有者全員ではありません(民法252条)。
  3. [適切]。本肢の通り、解除権の意思表示は撤回することはできません(民法540条2項)。
  4. 不適切。借主側に債務不履行があっても、それが当事者間の信頼関係が破壊するとまでは言えない場合には、解除権の行使が制限されることがあります(最判昭43.11.21)。無催告解除ができるかどうかは、不払いの程度、不払いに至った経緯、契約の内容、過去の支払い状況等を斟酌して判断されるので、特約があってもそれを根拠にした無催告解除が無条件で認められるとは限りません。
したがって適切な記述は[3]です。