賃貸借の終了(全14問中5問目)

No.5

賃貸人AがBに賃貸し、BがAの承諾を得てCに転貸する建物についてのAB間の原賃貸借契約の終了に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
令和2年試験 問11
  1. AB間の原賃貸借契約に、同契約の終了によりAが転貸借契約を承継する旨の特約がある場合、AB間の原賃貸借契約が終了すれば、AはBの転貸人の地位を承継するが、BのCに対する敷金返還義務は承継しない。
  2. AがBの賃料滞納を理由として有効に原賃貸借契約を解除したとしても、AがCに対して催告をしていなかった場合は、AはCに対して建物の明渡しを請求することはできない。
  3. AB間の原賃貸借契約が定期建物賃貸借契約で期間満了により終了する場合、AがCに対して原賃貸借契約が終了する旨を通知した時から6か月を経過したときは、AはCに対して建物の明渡しを請求することができる。
  4. AがBとの間で原賃貸借契約を合意解除した場合、その当時、AがBの賃料滞納を理由とする原賃貸借契約の解除権を有していたとしても、AはCに対して建物の明渡しを請求することはできない。

正解 3

解説

  1. 誤り。原賃貸借契約が終了した場合に、原賃貸人が転貸借契約を承継する旨の特約は有効です。原賃貸人が転貸借契約の借主の地位の移転を受けた場合、敷金返還義務は原賃貸人に引き継がれます(民法615条の2第4項)。
  2. 誤り。原賃貸借契約が賃料滞納、すなわち債務不履行で契約解除される場合は、転借人Cへの催告をせずに明渡しを請求することができます(民法613条3項)。
  3. [正しい]。定期建物賃貸借が期間満了で終了する場合、原賃貸人であるAが転借人Cに通知をすることで、転貸借契約は通知後6か月で終了し、明渡しを請求できます(借地借家法34条2項)。
  4. 誤り。合意解除の当時、賃貸人が賃借人の債務不履行による解除権を有していた場合は、その解除を転借人Cに主張することができ、明渡しを請求できます(民法613条3項)。
したがって正しい記述は[3]です。