賃貸住宅管理業者(全32問中7問目)

No.7

賃貸住宅管理業法における登録を受けた賃貸住宅管理業者の財産の分別管理に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、管理受託契約に基づいて受領する家賃等を管理する口座を「家賃等管理口座」、賃貸住宅管理業者の固有の財産を管理する口座を「固有財産管理口座」とする。
令和5年試験 問18
  1. 賃借人から受領した家賃等から管理報酬分を支払うものとしている場合には、あらかじめ賃貸人に引き渡す家賃等と管理報酬相当額とを分けて、前者のみを家賃等管理口座に入金させなければならない。
  2. 管理戸数20戸以下の賃貸住宅管理業者は、家賃等管理口座と固有財産管理口座を一つの口座とし、家賃等と自己の固有の財産とを、帳簿により勘定上直ちに判別できる状態で管理することができる。
  3. 家賃等管理口座に預入された金銭は、その全額を直ちに賃貸人に交付しなければならず、賃貸住宅管理業者の固有財産に属する金銭のうちの一定額を、家賃等管理口座に残したままにしておくことはできない。
  4. 家賃等管理口座に預入された金銭は、現金預金や管理手数料収入、修繕費などの勘定科目に、物件名や顧客名を入れた補助科目を付して仕分けを行うことにより、他の管理受託契約に基づく管理業務において受領する家賃等との分別管理とすることができる。

正解 4

解説

  1. 誤り。賃借人からは、家賃等と管理報酬相当額を合わせて、いずれか一方の口座に入金してもらえば足ります。
    家賃等を管理する口座と、賃貸住宅管理業者の固有財産を管理する口座は分別管理されていなければなりません(管理業法16条)。厳密にいえば、何時も家賃は家賃等管理口座に、管理報酬相当額は固有財産管理口座に分かれていなければなりませんが、実務上難しい面もあるので、家賃等管理口座にその月分の家賃をいったん全額預入し、当該口座から固有財産管理口座に管理報酬分の金額を移し替える等、いずれか一方の口座に、一時期に家賃等及び賃貸住宅管理業者の固有財産が同時に預入されている状態が生じても差し支えないとされています(解釈運用の考え方-第16条関係)。
  2. 誤り。管理戸数が200戸未満の業者は、賃貸住宅管理業の登録を受ける必要がありませんが、賃貸住宅管理業者(登録を受けて賃貸住宅管理業を営む者)である以上は、管理戸数にかかわらず、賃貸住宅管理業法の規制を受けます。したがって、家賃等管理口座と固有財産管理口座を明確に分け、入居者等から受領した金銭がいずれの管理受託契約によるものか、帳簿により直ちに判別できるようにしなければなりません。
  3. 誤り。家賃等管理口座内の管理報酬相当額は、速やかに固有財産管理口座に移し替えなければなりません。ただし、賃貸人に家賃等を確実に引き渡すことを目的として、適切な範囲において、管理業者の固有財産のうちの一定額を家賃等を管理する口座に残しておくことは差し支えないとされています(解釈運用の考え方-第16条関係)。
  4. [正しい]。財産の分別管理の方法としては、家賃等管理口座と固有財産管理口座を別とした上で、管理受託契約毎に金銭の出入を区別した帳簿を作成する等により勘定上も分別管理する必要があります(管理業法規則36条)。補助科目として物件名と顧客名を付してグループ化することで、勘定科目を管理受託契約ごとに分別管理することができます。
したがって正しい記述は[4]です。