賃貸住宅管理業者(全32問中6問目)

No.6

管理受託契約における委託者への賃貸住宅管理業法に基づく定期報告に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
令和5年試験 問8
  1. 賃貸住宅管理業法施行前に締結された管理受託契約を同法施行後に更新した場合は、期間の延長のみの形式的な更新であっても、更新後の契約においては報告を行うべきである。
  2. 賃貸住宅管理業法施行前に締結された管理受託契約が更新される前に、契約期間中に当該管理受託契約の形式的な変更とは認められない変更を同法施行後に行った場合は、変更後の契約においては報告義務が生じる。
  3. 賃貸住宅管理業法上、書面による定期報告が義務付けられている事項は、「管理業務の実施状況」「入居者からの苦情の発生状況」、「家賃等金銭の収受状況」の3つである。
  4. 管理業務報告書の交付方法は書面だけではなく、メール等の電磁的方法によることも可能だが、賃貸人が報告書の内容を理解したことを確認する必要がある。

正解 3

解説

  1. 正しい。管理業法の施行前に締結された管理受託契約については、委託者への定期報告義務及び契約締結時書面の交付の適用がありません(管理業法附則3条)。ただし、管理受託契約が更新された場合、形式的な変更と認められる場合であっても、更新された後においては、賃貸人に対して法に基づく定期報告を行うべきであるとされています。また、更新前においても可能な限り早期に報告を行うことが望ましいとされています(解釈運用の考え方-第20条関係1)。
  2. 正しい。管理業法の施行前に締結された管理受託契約について、法の施行後に形式的でない変更を行った場合には、法施行後に行われた管理受託契約として扱われます。このため、通常の契約と同様に定期報告を行う必要があります(FAQ-事業関連(受託管理)(3)No.15)。
  3. [誤り]。家賃等金銭の収受状況は、管理業務報告書の記載事項ではありません。定期報告において、管理業務報告書に記載すべき事項は次の3つです(管理業法規則40条)。
    1. 報告の対象となる期間
    2. 管理業務の実施状況(家賃等の金銭の収受状況、維持保全の実施状況等)
    3. 管理業務の対象となる賃貸住宅の入居者からの苦情の発生状況及び対応状況(苦情の発生した日時、苦情を申し出た者の属性、苦情内容、苦情への対応状況等)
  4. 正しい。管理業務報告書の交付方法は書面での交付に代えて、あらかじめ賃貸人の承諾を得ることで、①電子メール、②Webによる方法、③磁気ディスクやCD-ROMなどの情報記憶媒体の交付のいずれかによる電磁的方法で提供することが可能です(管理業法規則40条)。報告書の内容を説明をする方法は問われませんが、双方向でやり取りできる環境上で説明を行い、賃貸人が管理業務報告書の内容を理解したことを確認する必要があります(FAQ-事業関連(受託管理)(3)No.13)。
したがって誤っている記述は[3]です。