賃貸不動産経営管理士過去問題 平成29年試験 問36

問36

不動産賃貸経営に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 個人貸主においては、超過累進税率の適用により所得が増えれば税率も上がるが、資産管理会社を設立し、収入を会社に移転させることにより、個人の所得が分散し、結果として税率の緩和を図ることができる。
  2. 不動産賃貸経営を法人化すれば、個人の所得に対して課される所得税の税率は、法人に課される法人税の税率より高いため、所得の多寡を問わず、確実にメリットがあるといえる。
  3. 不動産所有者が自ら設立した資産管理会社に対して支払った管理料が不相当に高額である場合には、税務調査により、管理料の一部につき、必要経費計上が否認されることがある。
  4. 一般的に、空室リスクを管理業者が負担するサブリース方式による場合の管理料は、空室リスクを管理業者が負担しない管理受託方式による場合の管理料と比べ、賃料に対する比率が高い。

正解 2

解説

  1. 適切。所得税は超過累進税率ですが、法人税は比例税率です。収入が増えた場合には、資産管理会社を設立して収入を会社に移転させることで、個人の所得が分散し、結果として税率の緩和を図ることが可能となります。会社から個人に給与を払う形になるので給与所得控除の適用も受けられます。
  2. [不適切]。所得の多寡を問わず、確実にメリットがあるとは言い切れません。収入に対する税率だけ見れば、合計所得金額800万円を超えると法人化する方がメリットがあるとなりますが、法人化に伴い、社会保険への加入義務や法人設立・経営のコストもかかるため、個々の事情を勘案して判断されるべきです。
  3. 適切。管理料が不相当に高額である場合には、税務調査により、管理料の一部につき、必要経費計上が否認されることがあります。
  4. 適切。サブリース方式の場合は空室リスクを背負うため、リスクに対するリターンとしての管理料が管理受託方式と比べ高くなる傾向があります。
したがって不適切な記述は[2]です。