賃貸不動産経営管理士過去問題 令和4年試験 問22

問22

企業会計原則及び会計処理の基礎に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。
  1. 企業会計原則は、企業会計の実務の中に慣習として発達したものの中から、一般に公正妥当と認められたところを要約した基準である。
  2. 企業会計原則は、一般原則、損益計算書原則、貸借対照表原則の3つの原則により構成されている。
  3. 明瞭性の原則とは、企業会計は、すべての取引につき、正規の簿記の原則に従って、明瞭かつ正確な会計帳簿を作成しなければならないことをいう。
  4. 収益又は費用をどの時点で認識するかについて、発生主義と現金主義の2つの考え方があり、取引を適正に会計処理するためには、発生主義が好ましいとされている。

正解 3

解説

  1. 適切。企業会計原則は、企業会計の実務の中に慣習として発達したものの中から、一般に公正妥当と認められたところを要約した基準です。法律ではありませんが、企業が会計業務を実施する場合の基本的なルールとなっています。
  2. 適切。企業会計原則は、企業会計に関する7つの一般的な原則である「一般原則」、収益と損失及び利益を記載する損益計算書の作成に関する原則である「損益計算書原則」、資産と負債及び純資産の状態を記載する貸借対照表に関する原則である「貸借対照表原則」の3つの原則から成り立っています。
  3. [不適切]。"企業会計は、すべての取引につき、正規の簿記の原則に従って、明瞭かつ正確な会計帳簿を作成しなければならない"というのは、「正規の簿記の原則」の説明です。「明瞭性の原則」とは、"企業会計は、財務諸表によって、利害関係者に対し必要な会計事実を明瞭に表示し、企業の状況に関する判断を誤らせないようにしなければならない"ことをいいます。
  4. 適切。「発生主義」は、金銭のやり取りに関係なく取引が発生した事実に基づいて費用と収益を認識する考え方で、「現金主義」は現金の入出金に基づいて費用と収益を認識する考え方になります。現金主義は金銭の動きだけを記録するので分かりやすいのですが、一定の期間ごとの正確な損益を把握することが困難であるため、取引を適正に会計処理するためには、発生主義が好ましいとされています。
したがって不適切な記述は[3]です。