賃貸管理総論(全18問中3問目)

No.3

賃貸住宅管理に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
令和4年試験 問44
  1. 「賃貸住宅の計画的な維持管理及び性能向上の推進について~計画修繕を含む投資判断の重要性~」(国土交通省平成31年3月公表)では、高経年建物の大幅な増加や居住者側のニーズの多様化を背景に、空室率の上昇や家賃水準の引下げのおそれがあることから、賃貸住宅の貸主が中長期的な視点のもとで計画修繕するなどの投資判断を行うことの重要性が述べられている。
  2. 地価の二極化が進む中で不動産市場が活力を失い、借り手市場となって空室対策に苦しむエリアにおいて、入居率を維持し賃貸収入を確保するためには、借主の入替えに伴う新規入居者からの一時金収入と賃料引上げに期待する考え方を強化することが大切になっている。
  3. 既存の賃貸住宅経営の観点から優良な借主に長く契約を継続してもらうニーズが大きくなり、借主の立場を重視した管理のあり方が要請されているが、借主は借地借家法で保護されていることから、借主を消費者と位置付けて消費者保護の観点から賃貸借関係を捉える必要はない。
  4. 「不動産業ビジョン2030~令和時代の『不動産最適活用』に向けて~」(国土交通省平成31年4月24日公表)は、不動産流通業の役割として、資産価値の維持・向上を通じたストック型社会の実現、コミュニティ形成、高齢者見守りなど付加価値サービスの提供やエリアマネジメント推進を指摘した。

正解 1

解説

  1. [適切]。今後、民間賃貸住宅は、築数十年を迎えるストックの大幅な増加が見込まれ、居住者ニーズの多様化も進んでいるため、ニーズに対応できない賃貸住宅は陳腐化していき、空室率の上昇や家賃水準の引下げに直面するおそれがあります。このような事態に陥らないようにするためには、賃貸住宅のオーナーが自らの賃貸住宅の効率的・効果的な維持管理を主体的に行う意識が求められます。このような背景から、賃貸住宅のオーナーが中長期的な視点のもとで投資判断を行っていくことが重要性であると述べられています。
  2. 不適切。入居率を維持し賃貸収入を確保するためには、借主の入替えに伴う新規入居者からの一時金収入と賃料引上げに期待するのではなく、優良な賃借人に長期間借りてもらうことが重要です。
  3. 不適切。借主は借地借家法で手厚く保護されているとはいえ、有する知識や財の面から貸主の立場が強いのは変わっていません。近年は、不動産賃貸借の借主(特に個人の)を消費者と位置付けて、消費者保護の観点から不動産賃貸借を捉え、借主を守ろうとする動きが盛んになっています。
  4. 不適切。資産価値の維持・向上を通じたストック型社会の実現、コミュニティ形成、高齢者見守りなど付加価値サービスの提供やエリアマネジメント推進は、不動産管理業の役割です。不動産流通業の役割は、①的確な情報提供による取引の安全性確保、②消費者の多様なニーズに対応するコンサルティング能力の強化、③地域の守り手として地域活性化を支える存在に、の3つです。
したがって適切な記述は[1]です。