賃料・敷金等の一時金(全16問中3問目)
No.3
敷金の取扱いに関する次の記述のうち、適切なものはどれか。令和5年試験 問20
- 敷金は、賃貸借契約上賃借人が負うべき債務の担保として交付されるものであるが、賃貸借契約は継続しつつ、敷金契約を合意解約して敷金の返還をすることができる。
- 敷金は、賃貸借契約上賃借人が負うべき債務の担保として交付されるものであるから、賃貸借契約締結と同時に、または締結前に交付しなければならない
- 賃貸借契約が終了したにもかかわらず賃借人の明渡しが遅延したことにより発生する賃料相当使用損害金は、賃貸借契約が終了した後に発生する債務であるため、敷金から差し引くことはできない。
- 敷金は、賃借人の債務を具体的に特定し、その債務に敷金を充当する旨の意思表示をしない限り、賃貸人はその全額を返還しなければならない。
広告
正解 1
分野
科目:3 - 賃貸借に係る法令細目:3 - 賃料・敷金等の一時金
解説
- [適切]。敷金を預託する合意は、賃貸借契約とは別個の契約に基づく要物契約です。したがって、賃貸借契約は継続しつつ、敷金契約のみを合意解除して敷金の返還をすることも可能です(最判昭53.12.22)。
- 不適切。敷金契約は、賃貸借に従たる契約ではありますが、あくまでも賃貸借とは別個の契約です。したがって、敷金の交付時期は敷金契約の内容によって異なり、必ずしも賃貸借契約締結と同時に、または締結前に交付しなければならないわけではありません(最判昭53.12.22)。
- 不適切。敷金は、建物の明渡しを受けたときに、それまでに生じた賃借人の債務を控除して返還するものとされています。したがって、明渡しが遅れたことによる賃料相当使用損害金も敷金から差し引くことが可能です(民法622条の2)。
- 不適切。建物明渡し時に、賃借人の債務が残っている場合、敷金契約に基づき、敷金は当該債務に当然に充当されるため、相殺のように敷金を充当する旨の意思表示は必要ありません。債務を特定する必要はありますが、敷金を充当する旨の意思表示は不要です(最判平14.3.28)。
広告
広告