賃料・敷金等の一時金(全15問中5問目)

No.5

賃料増減請求に関する次の記述のうち、適切なものの組合せはどれか。
  1. 賃料増減請求は、請求権を行使した時ではなく、客観的に賃料が不相当となった時に遡って効力を生ずる。
  2. 賃料改定を協議により行うとする特約が定められている場合であっても、賃料増減請求を行うことができる。
  3. 借主が賃料減額請求を行ったが、協議が調わない場合、減額を正当とする裁判が確定するまでの間、借主は減額された賃料を支払えば足り、貸主は従前の賃料を請求することができない。
  4. 賃料改定については、合意が成立しなければ、訴訟によって裁判所の判断を求めることになるが、原則として、訴訟提起の前に調停を申し立てなければならない。
令和3年試験 問21
  1. ア、イ
  2. ア、ウ
  3. イ、エ
  4. ウ、エ

正解 3

解説

  1. 不適切。賃料増減請求は請求をしたときから将来に向かって効力を生じます。賃料が不相当となった時までは遡りません(借地借家法32条1項)。
  2. 適切。賃料増減請求権は契約の条件にかかわらず認められている権利です。よって、賃料改定を協議により行うという特約があったとしても、賃料増減請求権を行使することが可能です(借地借家法32条1項)。
  3. 不適切。裁判が確定するまでは、貸主は減額された賃料ではなく、相当と認める額の賃料を請求することができます(借地借家法32条3項)。逆に貸主からの増額の場合も同様に、裁判が確定するまでは借主は相当と認める額の賃料を支払えばよいことになっています(借地借家法32条2項)。
  4. 適切。賃料増減請求は調停前置主義が採用されており、賃料改定について訴えを提起しようとする者は、まず調停の申立てをしなければならないとされています(民事調停法24条の2第1項)。
したがって適切なものの組合せは「イ、エ」です。