賃貸不動産経営管理士過去問題 平成27年試験 問13(改題)

問13

賃貸借契約の成立に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 賃貸借契約は、賃貸借の目的物である物件の引渡しにより成立する。
  2. 賃貸借契約が成立するためには、貸主、借主が署名押印する賃貸借契約書の作成が必要である。
  3. 建物所有者と借受希望者による賃貸借契約の締結に向けた交渉が進み、交渉の相手方に契約が成立するであろうという強い信頼が生まれる段階に達した場合には、その信頼は法的保護に値することから、賃貸借契約が成立する。
  4. 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の貸借に関し、その媒介により契約が成立したときは、当該契約の各当事者に、契約内容に係る書面を交付(書面の記載内容を電磁的方法により提供する場合を含む)しなければならない。

正解 4

解説

  1. 不適切。賃貸借契約は諾成契約であるため、貸主、借主お互いの承諾によって成立します。目的物の引渡しが要件である要物契約ではありません。
  2. 不適切。賃貸借契約書の作成によらずとも、口約束でも賃貸借契約は成立します。ただし、お互いの齟齬が出ないようにするため書面での契約締結が望ましいと言えます。また、定期建物賃貸借、取壊し予定の建物の賃貸借、終身建物賃貸借等、一部の賃貸借契約では書面での契約が必要とされているものもあります。
  3. 不適切。交渉の相手方に契約が成立するであろうという強い信頼が生まれる段階に達した場合であっても、相手方の承諾がないため、賃貸借契約が成立したとは言えません。ただし、その段階まで達したのにもかかわらず契約に至らなかった場合には、信義則違反として、損害賠償責任を問われることがあります。
  4. [適切]。貸借の媒介が成立した場合、宅地建物取引業者は、貸主・借主双方に契約書面(37条書面)を交付することになっています。
したがって適切な記述は[4]です。