賃貸不動産経営管理士過去問題 平成27年試験 問28

問28

「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(以下、本問において「ガイドライン」という。)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 借主は、退去時に壁のクロスの経年劣化及び通常損耗分の張替えについて、ガイドラインで示されている下記のグラフに従い張替え費用を負担しなければならない。
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  2. 経過年数を超えた設備等であっても、継続して賃貸住宅の設備等として使用可能な場合があり、このような場合に借主が故意過失等により設備等を破損し、使用不能にしてしまった場合には、従来機能していた状態まで回復させるための費用を借主が負担すべきときがある。
  3. 借主に特別の負担を課す特約については、その特約をする必要性があり、かつ、暴利的ではない等の客観的、合理的理由があり、借主が、特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことを認識したうえで、特約による義務負担の意思表示をすることが、その有効性の要件となる。
  4. 新築から3年経過後に入居し、選択肢1のグラフの始点を50%と決定していた場合で、入居2年後の退去の際、壁のクロス(耐用年数6年)に借主が修理費用を負担すべき損傷があった。その張替え費用が6万円である場合、このグラフによれば借主が負担すべき金額は1万円である。

正解 1

解説

  1. [不適切]。退去時に壁のクロスの経年劣化及び通常損耗分の張替えについては、借主負担ではなく貸主負担となります。
  2. 適切。継続して賃貸住宅の設備等として使用可能な場合があり、借主が故意過失等により設備等を破損し、使用不能にしてしまった場合に、従来機能していた状態まで回復させるための費用を借主が負担すべき場合もあります。
  3. 適切。特約をする必要性があり、かつ、暴利的ではない等の客観的、合理的理由があり、借主が、特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことを認識したうえで、特約による義務負担の意思表示をすることが、その有効性の要件とされています。
  4. 適切。始点が50%のため、入居時点の壁のクロスの価値が「6万円×50%=3万円」です。年間の価値の逓減が1万円のため、入居2年後の退去の際は「3万円-1万円×2年=1万円」が残存価値で、その分が借主が負担すべき金額となります。
したがって不適切な記述は[1]です。