賃貸不動産経営管理士過去問題 平成28年試験 問16(改題)

問16

賃貸借契約の保証に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 保証人は、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情のない限り、更新後の賃貸借から生ずる借主の債務についても保証の責めを負い、貸主において保証債務の履行を請求することが信義則に反すると認められる場合を除き、更新後の賃貸借から生ずる借主の債務についても保証の責めを免れない。
  2. 保証契約は書面又は電磁的記録でしなければ効力を生じないから、賃貸借契約書中に保証の規定及び保証人の署名押印があったとしても、新たに保証契約書を作成しなければ、保証契約は無効である。
  3. 保証人は、借主が賃貸借契約の解除後に明渡しを遅滞したことによって生じた賃料相当損害金について、保証債務を負う。
  4. 保証人が個人の場合、借主が死亡して、その相続人が借主の地位を相続した後に発生する賃料債務について、保証債務を負わない。

正解 2

解説

  1. 適切。保証人は、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情のない限り、更新後の賃貸借から生ずる借主の債務についても保証の責めを負い、貸主において保証債務の履行を請求することが信義則に反すると認められる場合を除き、更新後の賃貸借から生ずる借主の債務についても保証の責めを免れない、としています(最判平9.11.13)。
  2. [不適切]。賃貸借契約書中に保証の規定及び保証人の署名押印があれば、書面による契約の要件を満たすため、新たに保証契約書を作成する必要はありません。
  3. 適切。保証債務は、主たる債務に附従するものであり、その範囲も「主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。」とされています(民法447条1項)。つまり、保証人は、借主が賃貸借契約の解除後に明渡しを遅滞したことによって生じた賃料相当損害金についても保証債務を負うことになります。
  4. 適切。個人根保証契約では、主たる債務者の死亡を元本確定事由としています(民法465条の4第1項3号)。元本が確定した場合、その元本(+利息や損害遅延金等)のみが保証対象になるので、借主の相続人から発生する賃料債務のように、相続開始後に生じた債務については保証債務を負いません。
したがって不適切な記述は[2]です。