賃貸不動産経営管理士過去問題 平成29年試験 問16

問16

住宅の賃貸借契約の当事者に相続が発生した場合の権利関係に関する次の記述のうち、適切なものの組合せはどれか。
  1. 借主に相続が開始し、相続人が存在しない場合、内縁の配偶者が同居していたときは、内縁の配偶者は借主の地位を承継する。
  2. 借主に相続が開始し、共同相続人が賃借権を共同相続した場合、貸主は各共同相続人に対して、相続分に応じて分割された賃料を請求できるにすぎない。
  3. 貸主に相続が開始し、共同相続人が物件を共同相続した場合、相続人が解除権を行使するためには、過半数の共有持分を有していなければならない。
  1. ア、イ
  2. イ、ウ
  3. ア、ウ
  4. ア、イ、ウ

正解 3

解説

  1. 適切。借主に相続人が存在しない場合、内縁の配偶者が同居していたときは、内縁の配偶者は借主の地位を承継することができます(借地借家法36条1項)。
  2. 不適切。貸主は各共同相続人に対して分割された賃料ではなく全額を請求することができます。賃借権が共同相続人の共有(共同利用状態)となっており、賃料債権を明確に分割することができないため(不可分債権)、各相続人にそれぞれ全額請求することができます。
  3. 適切。賃貸借契約の見直し(賃貸借契約の解除)は、共同相続人による共有物件の管理行為にあたるため、共有持分の過半数の承諾が必要となります。民法上の共有について、保存行為(共有物件の修繕等)は各自単独で、管理行為は過半数の承諾、変更行為(共有物件の増改築や売却等)は共有者全員の承諾が必要です(民法251条、民法252条)。
したがって適切なものの組合せは「ア、ウ」です。