賃貸不動産経営管理士過去問題 平成29年試験 問17
問17
賃貸建物の修繕に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。- 借主は、賃貸建物について雨漏りの修繕費用を支出したときは、貸主に対し、賃貸借契約終了時に賃貸建物の価格の増加が現存する場合に限り、支出した費用又は増加額の償還を請求することができる。
- 貸主の過失によって発生した火災の結果、賃貸建物が全部滅失した場合には、貸主は賃貸建物の修繕義務を負う。
- 賃貸建物が損傷した場合において、その原因が天変地異等、不可抗力によるものであるときは、貸主は賃貸建物を修繕する義務を負わない。
- 貸主が修繕義務の履行を怠り、借主が賃貸建物を全く使用することができなかった場合には、借主はその期間の賃料の支払を免れる。
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正解 4
分野
科目:3 - 賃貸借に係る法令細目:2 - 貸主・借主の権利義務
解説
- 不適切。借主は、賃貸建物について雨漏りの修繕費用を支出した場合は必要費に当たるため、賃貸借契約終了を待たずに、また価値の増加が現存するかどうかにかかわらず、支出した費用を直ぐに請求することができます(民法608条1項)。
- 不適切。一部滅失の場合は修繕義務を負いますが、全部滅失した場合は賃貸借契約は自動的に終了となります(民法616条の2)。この場合、貸主は建物の修繕義務を負いません。
- 不適切。不可抗力によるものであっても、賃貸建物が損傷した場合には貸主は借主に対する物件を使用収益させる義務があるため、賃貸建物を修繕する義務を負います。ただし、借主の帰責事由により修繕が必要になった場合はこの限りではありません(民法608条1項)。
- [適切]。借主が帰責事由がない損傷について貸主が修繕義務を怠り、借主がその期間全く賃貸建物を使用できなかったときは、借主は、その使用できない期間における賃料全額の支払いを免れます(大判大4.11.21)。賃料は賃貸建物を使用する対価であるからです。
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