賃貸不動産経営管理士過去問題 平成30年試験 問1

問1

管理業者の社会的責務と役割に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。
  1. 管理業者は、投資家や貸主の意向に追随するだけの存在ではなく、貸主と借主との間、又は投資家その他の利害関係人との間に入り、専門的知識とノウハウを駆使して中立公平に利害調整を行って、不動産の適切な活用を促進する存在であることが求められる。
  2. 不動産証券化においてアセットマネージャーが説明・情報開示責任を果たすために必要な情報は、管理業者の情報を基礎とするので、管理業者としては、特に投資家のために、透明性の高い説明と報告をする役割を担っている。
  3. 賃貸不動産を良質な状態で長く利用するためには、その所在する環境も重要な要素となることから、管理業者は、街並み景観の維持を含むまちづくりにも貢献していく社会的責務を負っている。
  4. 資産運営のプロとしての役割を果たすためには、貸主の自主管理や一部委託管理といった伝統的な管理体制だけではなく、貸主の不動産経営を総合的に代行する専門家としての体制を備えることが要請される。

正解 2

解説

  1. 適切。管理業者の社会的責務として、単に投資家や貸主の代理人だけの存在ではなく、貸主と借主の関係性、あるいは投資家や他のステークホルダーとの関係性の中で、賃貸不動産に関する専門的な知識を使い、あくまでも中立の立場でのふるまいが要求されます。
  2. [不適切]。管理業者は、賃貸管理に関する透明性の高い説明と報告を行う社会的役割を担っていますが、不動産証券化に関わる不特定多数の信託受益権者のためであり、特に投資家のためというわけではありません。
  3. 適切。住宅・ビル等の賃貸不動産を良好な状態で長きにわたり利用するためには、その建物を取り巻く環境も重要な要素です。つまり、管理業者は、街並み景観の維持を含むまちづくりにも貢献していく社会的責務を負っていることになります。
  4. 適切。伝統的な管理体制(貸主の自主管理や一部委託管理)では、資産運営のプロとしての役割を担うことは難しくなっています。そこで、貸主の不動産経営を総合的に代行する専門家としての管理業者が要請されています。
したがって不適切な記述は[2]です。