賃貸不動産経営管理士過去問題 平成30年試験 問13

問13

住宅の賃貸借契約の当事者が死亡した場合の法律関係に関する次の記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。
  1. 貸主が死亡し、相続人が複数いる場合、遺産分割が成立するまでの間、借主は賃料の支払を拒むことができる。
  2. 貸主が死亡し、相続人が複数いる場合、相続開始から遺産分割が成立するまでの間に生じた賃料は、遺産分割により賃貸物件を相続した者がすべて取得する。
  3. 借主が死亡し、相続人が複数いる場合、遺産分割が成立するまでの間、貸主は各共同相続人に対して賃料全額の支払を請求することができる。
  4. 借主が死亡し、相続人がいない場合、事実上夫婦の関係にある者が同居しているときは、その同居者が借主の地位を承継することができる。
  1. ア、イ
  2. ア、ウ
  3. イ、エ
  4. ウ、エ

正解 1

解説

  1. 誤り。貸主が死亡し、相続人が複数いる場合に遺産分割が終わっていない場合でも、賃料債権について借主が支払いを拒むことはできません。
  2. 誤り。貸主が死亡し、相続人が複数いる場合に遺産分割が終わっていない場合、賃貸住宅は共同相続人の共有財産となり、その間の賃料債権については、各共同相続人がその相続分に応じて確定的に取得します(最判平17.9.8)。この取得した賃料債権はその後の遺産分割協議の結果による影響を受けないとされているので、「賃貸物件を相続した者がすべて取得する」という本肢は誤りです。
  3. 正しい。借主の債務は、賃貸不動産を使用収益するという不可分な給付の対価としての債務であり不可分債務になります(大判大11.11.24)。不可分債務には連帯債務の規定が準用されるので、貸主は各共同相続人に対して、賃料全額の支払いを請求できます(民法430条)。
  4. 正しい。借主が死亡し、相続人がいない場合には、その借主と同居していた事実上夫婦の関係にある者(内縁の配偶者)が借主の地位を承継することができます(借地借家法36条1項)。
したがって誤っているものの組合せは「ア、イ」です。