賃貸不動産経営管理士過去問題 令和2年試験 問30

問30

賃貸物件内に存する借主の所有物(以下、本問において「私物」という。)の廃棄に関する次の記述のうち、不適切なものの組合せはどれか。
  1. 借主が死亡し、相続人全員が相続放棄をした場合、貸主は当該私物を廃棄することができる。
  2. 共用部分に私物が放置されている場合、私物の所有者が不明なときは、管理会社は私物を廃棄することができる。
  3. 借主が行方不明となった場合、保証人の了承があったとしても、貸主は貸室内の私物を廃棄することはできない。
  4. 借主が行方不明となった場合、賃貸借契約書に貸主が貸室内の私物を処分することができる旨の記載があったとしても、貸主は私物を廃棄することができない。
  1. ア、イ
  2. イ、ウ
  3. ア、エ
  4. ウ、エ

正解 1

解説

  1. 不適切。相続人全員が相続放棄をした場合など相続人となるべき人がいないときは、相続財産は法人となり、相続財産管理人に管理処分権が属します。賃貸借契約は相続財産管理人の管理下で継続しているため、相続財産管理人による処分がなされるまで、私物を廃棄することはできません。
  2. 不適切。持ち主不明であっても、管理会社は私物をそのまま廃棄することはできません。所有者不明の私物を所有権が放棄された物とみなし、管理組合がその所有権を取得し撤去・廃棄処分するか、遺失物法による遺失物の取扱いに準じて3ヶ月程度保管し、その後撤去・廃棄処分する必要があります。
  3. 適切。借主が行方不明であっても、私物の所有権は借主にありますから債務不履行を免れるためには、たとえ保証人の了承があっても私物の処分はできません。この場合、公示送達を申し出て、契約解除を行います。
  4. 適切。肢ウと同様、借主が行方不明であっても、賃貸借契約が継続しているかぎり残置物の処分はできません。法的手続きなく勝手に処分することは自力救済に当たるので、正当性が認められることはまずありません。
したがって不適切なものの組合せは「ア、イ」です。