賃貸不動産経営管理士過去問題 令和4年試験 問5
問5
賃貸住宅管理業者であるAが、賃貸人であるBとの管理受託契約に基づき、管理業務として建物の全体に及ぶ大規模な修繕をしたときに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。- 引き渡された建物が契約の内容に適合しないものであるとして、Aに対して報酬の減額を請求したBは、当該契約不適合に関してAに対し損害賠償を請求することができない。
- 引き渡された建物が契約の内容に適合しないものである場合、Bがその不適合を知った時から1年以内にその旨をAに通知しないと、Bは、その不適合を理由として、Aに対し担保責任を追及することができない。
- 引き渡された建物が契約の内容に適合しないものである場合、Bは、Aに対し、目的物の修補を請求することができる。
- Aに対する修繕の報酬の支払とBに対する建物の引渡しとは、同時履行の関係にあるのが原則である。
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正解 1
分野
科目:2 - 賃貸管理の実務細目:2 - 借主の募集
解説
管理業法では、賃貸住宅の維持保全を「住宅の居室及びその他の部分について、点検、清掃その他の維持を行い、及び必要な修繕を行うこと」と定義しています。維持保全のうち、維持については委任の性質を有しますが、修繕について請負の性質を有することとなり、管理業法上の管理受託契約は委任と請負の混合契約であることになります。よって、修繕については請負契約の規定が適用されます。本問の建物修繕の請負契約においては、賃貸人Bが注文者、賃貸住宅管理業者Aが請負人ということになります。- [誤り]。請負人に対する担保責任の追及には、①履行の追完の請求、②報酬の減額の請求、③損害賠償の請求、④契約の解除がありますが、この4つは互いに独立した権利です。よって、報酬の減額を請求した後でも損害賠償請求をすることができます(民法564条)。
- 正しい。請負契約において引き渡された目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないとき、請負人に対して担保責任を追及する(履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除)には、注文者はその不適合を知った時から1年以内にその旨を通知しなければなりません(民法637条)。
- 正しい。引き渡された目的物が契約の内容に適合しない場合は、注文者は、請負人に対し、履行の追完を請求することができます。履行の追完とは、目的物の修補、代替物の引渡し、不足分の引渡しです。よって、賃貸人Bは賃貸住宅管理業者Aに対して、目的物の修補を請求することができます(民法562条)。
- 正しい。仕事の目的物の引渡しがある請負契約では、その目的物の引渡しと同時に、報酬の支払いをしなければなりません。よって、同時履行の関係にあります(民法633条)。
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