賃貸不動産経営管理士過去問題 令和5年試験 問21

問21

賃貸住宅を目的とする賃貸借契約に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
  1. 賃貸借契約が有効に成立するためには、契約の終期について合意しなければならない。
  2. 契約期間2年の建物賃貸借契約を締結し、「契約期間内に賃借人が死亡したときに契約が終了する」との特約を設けたとき、賃借人の死亡により賃貸借契約は終了する。
  3. 賃料の支払時期に関する合意をしなければ、当月分の賃料は当月末日払となる。
  4. 賃貸借契約の締結に向けた交渉がなされ、賃貸人に契約が成立することの強い信頼を与えるに至ったにもかかわらず、合意直前で賃借人予定者が理由なく翻意し、契約が成立しなかった場合、賃借人予定者が不法行為責任を負うことがある。
  1. 1つ
  2. 2つ
  3. 3つ
  4. 4つ

正解 2

解説

  1. 誤り。賃貸借では、期間を定めて契約することも、期間を定めないで契約することもできます。建物賃貸借で期間の定めがない場合、当事者双方がいつでも解約も申し出ることができます。ただし、賃貸人からの解約申入れには正当事由が必要です。
  2. 誤り。賃貸人からの解約申入れには正当事由が必要されており、この条件に反する特約で借主に不利なものは無効となります。このため、賃借人の死亡で賃貸借契約が終了する旨の特約は無効です。特約を設けても効力は生じませんから、民法の原則どおり、賃貸借の契約上の地位は相続人に承継されて、継続することとなります。
  3. 正しい。特段の取り決めがない場合、建物の賃料は毎月末に支払うことになっています。ただし、実務上は特約によって修正し、当月末までに翌月分を払う前払いとなっていることが多いです(民法614条)。
  4. 正しい。契約交渉において相手方に対して契約成立に強い信頼を与えていたにもかかわらず、契約締結の準備段階にまで至るなど一定の熟度に達した契約交渉を特段の事情もなく不当に破棄した場合は、契約締結前の段階であっても、信義則違反により不法行為責任が成立します。したがって、本肢のようなケースでは、契約締結前の段階であっても、賃借人が賠償責任を負うことがあります(最判昭59.9.18)。
したがって誤っているものは「2つ」です。