賃貸不動産経営管理士過去問題 令和6年試験 問4
問4
建物の賃貸借契約の有効性に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。- 賃借人が賃料の支払を7日以上怠ったときは、賃貸人は、直ちに賃貸物件の施錠をすることができる旨の特約は無効である。
- 賃借人が差押え又は破産手続開始の決定を受けたときは、賃貸人は直ちに賃貸借契約を解除することができる旨の特約は無効である。
- 被保佐人が保佐人の同意を得ずに締結した期間2年間の定期建物賃貸借契約は無効である。
- 定期建物賃貸借契約でない賃貸借契約の締結時に設定される、期間満了時に賃貸借契約を解約する旨の特約は無効である。
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正解 3
問題難易度
肢18.1%
肢215.0%
肢359.1%
肢417.8%
肢215.0%
肢359.1%
肢417.8%
分野
科目:3 - 賃貸借に係る法令細目:1 - 賃貸借契約
解説
- 適切。本肢のように、賃料未払いに対して「賃貸物件を施錠できる」「部屋の鍵を交換できる」など、法的手続きによらず自力救済できる旨を定めた特約は、公序良俗に反し、無効とされます。
- 適切。建物の賃貸人が差押えを受け、または破産手続開始の決定を受けたときに直ちに契約解除できる旨の特約は、賃貸人からの解約を制限する借地借家法の趣旨に反し、借主に不利なものであるため無効とされます(最判昭43.11.21、借地借家法30条)。
- [不適切]。被保佐人が行う賃貸借契約は、その契約期間が民法における短期賃貸借の期間を超えるときに保佐人の同意が必要です。短期賃貸借の限度期間は、山林10年、山林以外の土地5年、建物3年、動産6カ月なので、2年の建物賃貸借は保佐人の同意を得ずに行うことができます(民法13条1項9号、民法602条)。また、同意なく行われた法律行為は取消しの対象となるのであって、無効にはなりません。この点でも間違っています。
- 適切。期間の定めのある普通建物賃貸借では、期間満了の1年前から6月までの間に正当事由をもって更新しない旨の通知をしなければ、従前の契約と同一の条件で契約は更新されます(借地借家法26条)。期間満了をもって自動解約する特約は、上記の規定よりも借主に不利であるため、借地借家法の強行規定により無効とされます(借地借家法30条)。期間満了で契約終了させるためには定期建物賃貸借を利用する必要があります。
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