賃貸不動産経営管理士過去問題 令和6年試験 問22

問22

定期建物賃貸借契約に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
  1. 賃貸人が定期建物賃貸借契約の中途解約条項に基づき、同契約を中途解約する場合、正当事由の具備は不要である。
  2. 宅地建物取引業者が定期建物賃貸借契約を媒介する場合、代理権が無い場合でも、同契約は更新がなく期間の満了により終了することの説明をすれば、契約の更新がないこととする旨の定めは有効に成立する。
  3. 200㎡未満の賃貸住宅の定期建物賃貸借契約が成立しているときに、賃借人が親族の介護により同建物を生活の本拠として使用することが困難となり、賃貸人に対して解約申入れをした場合、同契約は解約申入日から1か月を経過することにより終了する。
  4. 定期建物賃貸借契約の期間が1年以上のとき、賃貸人が期間満了の5か月前に、賃借人に対して同契約が終了する旨を通知した場合、同契約の期間満了日から6か月経過後に終了する。
  1. 1つ
  2. 2つ
  3. 3つ
  4. 4つ

正解 3

問題難易度
肢19.0%
肢228.9%
肢356.6%
肢45.5%

解説

  1. 誤り。建物賃貸借で賃貸人から解約申入れを行うには正当事由が必要です(借地借家法27条2項)。中途解約条項は、契約期間中に一方の当事者が解約を申し出る権利を認めるものですが、この条項に基づいて解約する場合でも正当事由は必要です。これは定期建物賃貸借契約においても変わりありません。
  2. 誤り。定期建物賃貸借では、あらかじめ建物賃貸人から賃借人に対し、契約更新がなく、期間満了により終了することについて書面を交付(又は電磁的方法で提供して)して説明する必要があります(借地借家法38条3項)。本肢はそもそも書面の交付がありませんし、代理権のない宅建業者が行った説明は、賃貸人が行った説明と認められません。したがって、契約更新がない旨の定めは無効となります(借地借家法38条5項)。
  3. 正しい。床面積200㎡未満の居住用建物の定期建物賃貸借については、賃借人が転勤、療養、親族の介護等やむを得ない事情により、建物を生活の本拠として使用することが困難となった場合には、中途解約特約がなくとも、解約を申し入れることができます。この場合、解約申入れから1か月後に契約終了となります(借地借家法38条7項)。
  4. 誤り。期間満了日から6か月ではありません。期間1年以上の定期建物賃貸借契約では、賃貸人は期間満了の1年前から6か月前までの間に、賃借人に対して契約が終了する旨を通知する必要があります。通知が通知期間後になされた場合、通知をした日から6か月間に契約終了となります(借地借家法38条6項)。本肢のように期間満了の5か月前に通知した場合、契約終了はその6か月後に当たる期間満了日の1カ月後です。
したがって誤っているものは「3つ」です。