賃貸不動産経営管理士過去問題 令和6年試験 問25

問25

建物の賃借権の譲渡及び転貸に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  1. 賃借人が死亡し遺言が無い場合は、賃貸人は相続人に対して賃貸借契約を解除することができる。
  2. 賃借人が第三者に対し、賃貸住宅を使用貸借により使用させることは転貸には該当しない。
  3. 賃貸借契約に、賃借権を無断で譲渡し又は無断で転貸することを禁ずる定めがない場合、賃借人は自由に賃借権を譲渡又は転貸することができる。
  4. 賃貸住宅の賃借権の譲渡につき賃貸人が承諾しない場合、賃借人は裁判所に対し、賃貸人の承諾に代わる許可を求めることはできない。

正解 4

問題難易度
肢112.2%
肢228.1%
肢316.9%
肢442.8%

解説

  1. 誤り。被相続人が生前に有していた権利や義務は、相続の開始とともに相続人へ引き継がれます(民法896条)。賃借権もこの対象に含まれるため、賃借人が死亡した場合、その権利は相続人に承継されます。したがって、遺言がないことや賃借人の死亡を理由に、賃貸人が一方的に契約を解除することは認められません。
  2. 誤り。賃借人は、賃貸人の承諾を得ることにより、賃借権の譲渡や賃借物の転貸をすることができます(民法612条1項)。条文上「転貸」と表現されているため、賃貸借に限定されるわけではありません。このため、賃借人が第三者に対し、使用貸借により使用させることも転貸に該当します。
  3. 誤り。賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができません(民法612条1項)。無断転貸等は民法の明文で禁止されているため、契約にそれらを禁止する定めがなくても、賃借人は自由に賃借権を譲渡又は転貸することはできません。
  4. [正しい]。借地上の建物を譲渡する際、借地権設定者がその借地権の譲渡や転貸を承諾しない場合には、借地借家法19条1項に基づき裁判所に許可を求めることが可能です。しかし、建物の賃借権については、このように裁判所の許可を得る制度は設けられていません。
したがって正しい記述は[4]です。