賃貸不動産経営管理士過去問題 令和6年試験 問30

問30

賃貸住宅管理業法に基づく賃貸住宅管理業に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
  1. 賃貸人から明示的に契約等の形式により委託を受けているか否かにかかわらず、本来賃貸人が行うべき賃貸住宅の維持保全を、賃貸人からの依頼により賃貸人に代わって行う実態があれば、賃貸住宅管理業に該当する。
  2. 賃貸人から委託を受けて分譲マンション等の1室のみの専有部分について維持保全を行う業務は、賃貸住宅管理業に該当する。
  3. 賃貸人からコールセンター業務を受託した場合、入居者からの電話連絡を受け付けて居室の維持・修繕の発注を行うとしても、賃貸住宅管理業に該当しない。
  4. 共用部分の維持・修繕のみを受託し、居室の管理を行っていない場合は、賃貸住宅管理業に該当しない。

正解 3

問題難易度
肢113.6%
肢211.2%
肢356.4%
肢418.8%

解説

  1. 正しい。賃貸住宅管理業とは、賃貸住宅の賃貸人から委託を受けて行う以下の事業をいいます(管理業法2条2項)。
    • 委託に係る賃貸住宅の維持保全を行う業務(維持保全に係る契約締結の媒介・取次ぎ・代理を含む)
    • 上記と併せて行う、賃貸住宅に係る家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理を行う業務
    「委託を受けて」とは、賃貸人から明示的に契約等の形式により委託を受けているか否かを問いません。本来賃貸人が行うべき賃貸住宅の維持保全を、賃貸人からの依頼により賃貸人に代わって行う実態があれば該当します(解釈運用-第2条第2項関係1)。
  2. 正しい。賃貸住宅管理業法における「賃貸住宅」とは、『賃貸の用に供する住宅(人の居住の用に供する家屋又は家屋の部分をいう)』とされています。この「家屋」はアパート一棟や戸建てなど一棟を、「家屋の部分」はマンションの一室といった家屋の一部を指しています(解釈運用-第2条第1項関係)。したがって、分譲マンション等の専有部分1室のみも「賃貸住宅」に含まれ、その維持保全を行う業務も賃貸住宅管理業に該当します。
  3. [誤り]。賃貸住宅の維持保全を行う業務には、維持保全に係る契約締結の媒介・取次ぎ・代理を行う業務が含まれます(管理業法2条2項)。賃貸人との管理受託契約に基づき維持・修繕業者への発注等を行っている場合、それが維持保全を行う業務に当たるため、賃貸住宅管理業に該当します(FAQ-定義関連(2)No.3)。なお、コールセンター業務のみであれば賃貸住宅管理業には該当しません。
  4. 正しい。「賃貸住宅の維持保全」とは、居室及び居室の使用と密接な関係にある住宅のその他の部分である共用部分、居室内外の設備等について、点検・清掃等の維持を行い、これら点検等の結果を踏まえた必要な修繕を一貫して行うことをいいます(解釈運用-第2条第2項関係2)。居室と共用部分の両方の維持管理を行う場合は賃貸住宅管理業に該当しますが、エレベーターの保守点検・修繕の受託などのように共用部分だけの維持・修繕を受託することは賃貸住宅管理業に該当しません。
したがって誤っている記述は[3]です。