賃貸不動産経営管理士過去問題 令和6年試験 問32
問32
賃貸住宅管理業法の不当な勧誘等の禁止に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。- 特定転貸事業者が、特定賃貸借契約の勧誘に際し、転借人から受領することを予定している家賃の管理の方法につき相手方に告げなかった場合は、禁止される不当な勧誘等に該当する。
- 特定転貸事業者が、特定賃貸借契約を解除しようとしている賃貸人に対し、契約期間中の解除はいかなる場合も認められないと説明し解除を断念するよう説得したが、それでも賃貸人が解除の意思表示をした場合には、禁止される不当な勧誘等には該当しない。
- 特定転貸事業者が、特定賃貸借契約の勧誘をしようと賃貸住宅の所有者の自宅に訪問したところ、相手方が単に「迷惑です」と述べて勧誘行為そのものを拒否したにすぎないときは、再度電話で具体的に特定賃貸借契約の勧誘をしても、禁止される不当な勧誘等には該当しない。
- 特定転貸事業者が、一般的にみれば迷惑を覚えさせるような時間に、相手方が特定賃貸借契約の締結の拒否の意思表示をした以降も勧誘行為を継続することは、相手方が特定転貸事業者の事務所に訪問した際に行われた場合であっても、禁止される不当な勧誘等に該当する。
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正解 4
問題難易度
肢128.4%
肢211.3%
肢35.1%
肢455.2%
肢211.3%
肢35.1%
肢455.2%
分野
科目:6 - 賃貸住宅管理業法細目:2 - 特定転貸事業者
解説
- 不適切。特定賃貸借契約の不当な勧誘等に該当するのは次の2種類の行為です(管理業法29条)。
- 契約締結の勧誘又は解除を妨げるため、重要なものについて、故意に事実を告げない行為、又は故意に不実のことを告げる行為
- 威迫行為、迷惑を覚えさせる時間の勧誘、困惑させる行為、執ように勧誘する行為
特定賃貸借契約において、転借人から支払われる賃料は特定転貸事業者の固有財産となります。家賃等を預かる管理受託契約とは異なり、その管理方法は原賃貸人に直接的な影響を及ぼすものではありません。したがって「重要なもの」には当たらず、それを告げなかったとしても不当な勧誘には該当しません。 - 不適切。特定賃貸借契約には借地借家法の規定が適用されるため、賃貸人が契約を解除するには、中途解約条項が契約に含まれている状況で正当事由を備えた申入れを行うか、当事者双方の合意による解除が必要です。解除のハードルが高いのは事実ですが、『いかなる場合も認められない』という説明は事実と異なります。契約解除に際して、重要事項について故意に事実を告げない行為を行っているので、不当な勧誘等に該当します。実際に賃貸人が契約解除を妨げられたか否かは問いません(解釈運用-第29条関係2)。
【補足】
本肢では「故意に」の記述がありませんが、特定転貸事業者であれば当然に知っていると思われる事項を告げないような場合については、故意の存在が推認されるため「故意」の条件を満たします。 - 不適切。契約の締結又は更新しない旨の意思を表示した相手方に対して、執ように勧誘する行為(再勧誘)は禁止されています(管理業法規則43条4号)。
「契約の締結又は更新をしない旨の意思」は、口頭であるか書面であるかを問いません。具体的には、オーナー等が『お断りします』『必要ありません』『結構です』『関心ありません』『更新しません』などの意思を明示した場合のほか、『(当該勧誘行為が)迷惑です』など、勧誘行為そのものを拒否した場合も当然該当します(サブリースガイドラインP18)。したがって、「迷惑です」と述べて勧誘を拒否した後に、再度勧誘をする行為は不当勧誘等に該当します。 - [適切]。契約の締結又は更新しない旨の意思を表示した相手方に対して、執ように勧誘する行為(再勧誘)は禁止されています(管理業法規則43条4号)。
「執ように勧誘する行為」とは、勧誘方法や勧誘場所を問わず、相手方が契約を締結しない旨の意思を表示した後に再度勧誘する行為をいいます。また、迷惑を覚えさせるような時間に電話・訪問により勧誘する行為も禁止されています(管理業法規則43条3号)。したがって、上記2点で不当な勧誘等と判断されます。
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