賃貸不動産経営管理士過去問題 令和6年試験 問44

問44

相続税及び贈与税に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
  1. 父母や祖父母などの直系尊属から贈与を受けて子が一定の耐震性、省エネルギー性などを備えた良質な賃貸住宅を建てた場合、1,000万円まで贈与税が非課税となる。
  2. 初めて賃貸住宅経営を開始した人が3年以内に死亡した場合は、その賃貸住宅の敷地を貸付事業用宅地等として小規模宅地等の特例を適用することはできない。
  3. 法定相続人が2人(うち1人は相続放棄をした。)の場合の相続税の遺産に係る基礎控除額は、4,200万円(=3,000万円+600万円×2人)である。
  4. 令和7年2月1日に祖父から贈与により取得した財産について暦年課税を適用し、同年3月1日に父から贈与により取得した財産については相続時精算課税を選択した場合、贈与税の基礎控除は合計220万円まで認められる。

正解 1

問題難易度
肢131.1%
肢218.6%
肢317.9%
肢432.4%

解説

  1. [誤り]。賃貸住宅の取得は本特例の対象外です。父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けて、自己の居住の用に供する住宅を取得等し一定の要件を満たした場合、一定の耐震性、省エネルギー性などを備えた住宅であれば1,000万円、それ以外の住宅であれば500万円までの贈与が非課税となります。賃貸住宅は「自己の居住の用に供する」という要件を満たさないため、非課税の措置を受けることはできません。
  2. 正しい。賃貸住宅の敷地は「貸付事業用宅地等」として小規模宅地等の特例の適用対象となります。貸付事業用宅地等の適用要件として、被相続人が初めて賃貸事業を開始したのが相続開始前3年以内でないことが求められるため、初めて賃貸住宅経営を開始してから3年以内に死亡した場合、その宅地は貸付事業用宅地等として適用を受けることができません。
  3. 正しい。遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。相続放棄をした場合でも、基礎控除額の計算をする場合は法定相続人の数に含めます。したがって、本肢における遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×2人=4,200万円」です。
  4. 正しい。2023年度税制改正により、相続時精算課税制度に基礎控除が創設されました。受贈者は贈与者ごとにそれぞれの課税方法を選択することができるため、暦年課税の基礎控除(年110万円)と相続時精算課税の基礎控除(年110万円)は併用が可能となりました。本肢の場合、祖父から暦年課税で、父から相続時精算課税により贈与を受けているため、それぞれの基礎控除を利用することで合計220万円まで認められます。
したがって誤っている記述は[1]です。