賃貸不動産経営管理士過去問題 令和6年試験 問45

問45

不動産の証券化に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。
  1. 不動産の証券化が必要とされた背景の一つは、財務諸表を健全化するために、オフバランスが求められたことである。
  2. GK+TK型は、合同会社が営業者となって投資家との間で匿名組合契約を締結し、証券を発行して資金を集めて不動産を購入し、運用益を投資家に配分する仕組みである。
  3. 私募リートは、運用期間の定めがあり、証券取引所に上場されておらず換金性が乏しい点で、Jリートとは異なる特性を有している。
  4. 不動産証券化の仕組みでは、不動産信託受益権や匿名組合の出資持分が利用されることが多いが、第二種金融商品取引業の登録がなければ、販売・勧誘に携わることはできない。

正解 3

問題難易度
肢115.3%
肢218.6%
肢338.8%
肢427.3%

解説

  1. 適切。オフバランスは、貸借対照表から特定の資産を外す手段であり、不動産がリスク資産とみなされたバブル崩壊後に広がりました。不動産証券化を活用すると、不動産を売却して現金化し、負債返済に充てることが可能です。これにより、総資産が減少し財務体質がスリム化されます。その結果、自己資本比率の向上、負債比率の低下、ROEやROAの改善、さらには総資産回転率の向上といった多岐にわたる効果が期待できます。
  2. 適切。GKとは合同会社(Godo Kaisha)を指し、TKとは匿名組合(Tokumei Kumiai)を指します。GK+TK型とは、証券化ビークルとしての特別目的会社(TMK)に「合同会社」を用い、当該合同会社を営業者とする匿名組合契約を通じて投資家が投資を行う方式です。
  3. [不適切]。私募リートは多くが運用期間の定めがなく無期限で運用される「オープンエンド型」で、証券取引所に上場されておらず、換金性が乏しい点が特徴です。本肢は、運用期間の定めがあるとしている点が誤りです。一方Jリートは、原則として中途解約ができない「クローズドエンド型」で、証券取引所に上場されているため市場売買を通じていつでも売却できます。
  4. 適切。不動産証券化の仕組みでは、不動産信託受益権や匿名組合の出資持分が広く利用されています。これらは、有価証券そのものではありませんが、「出資対象事業から生ずる収益の配当又は当該出資対象事業に係る財産の分配を受けることができる権利(集団投資スキーム持分)」として金商法上の有価証券とみなされます。集団投資スキーム持分は、第二種金融商品取引業の登録を受けなければ販売・勧誘に携わることができません。
したがって不適切な記述は[3]です。