賃貸不動産経営管理士過去問題 令和7年試験 問3

問3

賃貸物件の修繕に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
  1. 賃貸借契約において、賃貸人の修繕義務を免除し賃借人に修繕義務を課す特約も有効である。
  2. 賃借人の子である幼稚園児が賃貸物件の排水管を詰まらせた場合、責任能力のない者の行為であるため賃借人が責任を負うことはなく、賃貸人に修繕義務が課される。
  3. 賃貸人が修繕を怠ったことにより賃貸物件を全く使用収益することができなかった場合、賃借人はその期間の賃料支払義務を免れる。
  4. 賃貸人の修繕義務違反により賃借人に損害が発生した場合でも、賃借人が損害を回避又は減少させる措置をとることができたと解される時期以降の損害については、全ての賠償を請求できるとは限らない。

正解 2

問題難易度
肢112.6%
肢281.4%
肢34.3%
肢41.7%

解説

  1. 正しい。賃貸借契約の賃貸人は、賃貸物の使用収益に必要な修繕をする義務を負います(民法606条)。しかし、民法上の「賃貸人の修繕義務」は任意規定であることから、賃貸人の修繕義務を免除し、賃借人に修繕義務を課す特約も原則としては有効となります。
    実務でも電球や蛍光灯、水道パッキン等の消耗品の交換は賃借人の負担とされることが多いです。また事業用の賃貸借において、権利金の授受をしない代わりに修繕義務を賃借人に課すなどの契約形態もあります。
    【補足】事業者対個人の契約では、消費者保護法により消費者の利益を一方的に害する条項は無効とされることがあります。
  2. 誤り。賃借人の子である幼稚園児は、賃借人の履行補助者であるため、その過失は賃借人の責任となります。賃借人の帰責事由によって修繕が必要となったときは、賃貸人は修繕義務を負いません(民法606条)。
  3. 正しい。賃貸物の一部が滅失などの理由により使用収益ができなくなった場合において、それが賃借人の責任によらないときは、使用できなくなった部分の割合に応じて賃料は当然に減額されます(民法611条)。本肢では、賃貸人が修繕を怠ったために使用収益ができなくなったので、賃借人はその期間の賃料支払義務を免れます。
  4. 正しい。賃貸人の修繕義務違反により賃借人に損害が発生した場合、債務不履行により損害賠償を請求することができます(民法416条1項)。この際、賃借人が損害を回避又は減少させる措置をとることができたと解される時期以降の損害は「通常生ずべき損害」に当たらないため、全ての賠償を請求することはできません(最判平21.1.19)。
したがって誤っている記述は「3つ」です。