賃貸不動産経営管理士過去問題 令和7年試験 問6

問6

建物賃貸借契約が賃借人の賃料不払を理由に解除され終了する場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  1. 賃貸人が賃借人の賃料不払を理由に賃貸借契約を解除する場合、賃借人の帰責事由は解除権行使の要件にならない。
  2. 解除の意思表示が賃借人に到達したといえるためには、賃借人の了知可能な状態に置かれるだけでは足りず、賃借人が直接通知を受領することが必要となる。
  3. 建物賃貸借契約において家賃債務保証業者が賃借人の債務の保証人となる場合に、当該業者が賃料の代位弁済をしていれば、賃借人の債務不履行は否定される。
  4. 賃貸借契約書において、賃借人が支払を怠った賃料の合計額が3か月分以上に達したときは賃借人の債務の保証人である家賃債務保証業者が賃貸借契約を無催告にて解除できる旨の条項は、賃借人が同意して締結した契約書の内容である以上、有効である。

正解 1

問題難易度
肢139.9%
肢222.8%
肢319.9%
肢417.4%

解説

  1. [正しい]。賃借人が賃料を払わない場合、賃貸人は相当の期間を定めてその履行を催告し、その期間内に履行がなければ契約を解除することができます(民法541条)。契約の解除をするのに債務者の帰責事由(落ち度)は不要です。したがって、賃借人の帰責事由は解除行使の要件ではありません。
    【参考】逆に債権者に帰責事由があるときは、債権者は契約解除できません(民法543条)。
  2. 誤り。意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生じます(民法97条1項)。到達とは「了知可能の状態に置かれること」をいい、その者の勢力範囲(支配権)内におかれることをもって足りるとされています(最判昭36.4.20)。具体的には、通知書が郵便ポストに投函された場合や、同居人が受け取った場合には、相手方に到達したものと扱われます。したがって、解除の意思表示は賃借人の了知可能な状態に置かれた時点で到達とみなされます。賃借人本人が直接受け取る必要はありません。
  3. 誤り。家賃債務保証業者が賃料を代位弁済した場合でも、賃借人が自ら賃料を支払っていないという事実は変わりません。そのため、代位弁済の事実は、債務不履行の有無の評価に当たり考慮されません(大阪高判平25.11.22)。
  4. 誤り。賃貸住宅に係る賃料債務等の保証委託・連帯保証契約において、「賃料債務等の連帯保証人は、賃借人が支払を怠った賃料等及び変動費の合計額が賃料3か月分以上に達したときは、無催告にて賃貸人と賃借人との間の賃貸借契約を解除することができる」旨を定める条項は、民法の契約解除の規定と比較し、消費者である賃借人の権利を大きく制限します。このような条項は、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものとして、消費者契約法により無効となります(最判令4.12.12)。
したがって正しい記述は[1]です。