賃貸不動産経営管理士過去問題 令和7年試験 問28

問28

定期建物賃貸借でも一時使用目的の賃貸借でもない建物賃貸借契約(以下、各問において、「普通建物賃貸借契約」という。)で、賃借人が賃料3か月分を滞納している場合において、賃貸人又は賃料の収納業務を委託された賃貸住宅管理業者の対応に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  1. 賃借人の債務に連帯保証人がある場合、賃貸人は、まずは賃借人に対し滞納賃料の支払を請求し、賃借人がその履行をしないときに限り、連帯保証人に対する請求をすることができる。
  2. 賃借人が賃貸人に対し、敷金を滞納賃料の一部に充てることを請求した場合であっても、賃貸人は、改めて滞納賃料の全額及びこれに対する遅延利息を賃借人に請求することができる。
  3. 賃貸住宅管理業者が、賃借人から前月分の滞納賃料の弁済であると指定されて賃料の1か月分を収受したが、賃貸人が直ちに異議を述べた場合には、いずれの滞納分に充当するかを賃貸人と協議の上で決めることができる。
  4. 賃貸人から特別の委任があれば、賃貸住宅管理業者が、賃借人に対し滞納賃料の支払を求める訴訟を提起してその回収を図ることができる。

正解 2

問題難易度
肢18.4%
肢270.6%
肢314.7%
肢46.3%

解説

  1. 誤り。連帯保証人は、催告の抗弁権(まず債務者に対して請求を求めること)と検索の抗弁権(債務者の財産について執行させること)を有しません(民法454条)。したがって、賃貸人は、賃借人に請求する前でも、連帯保証人に支払いを請求することができ、連帯保証人はこれを拒むことはできません。
  2. [正しい]。賃借人は、賃貸人に対し、敷金を自己の債務の弁済に充てるよう請求することはできません(民法622条の2第2項)。このような請求には正当な権限がないため、賃貸人は当該請求を無視して、滞納賃料の全額及びその遅延利息を賃借人に請求することが可能です。
  3. 誤り。同種の複数の債務に対して弁済があった場合の充当順序は次のとおりです(民法488条、民法490条)
    1. 合意による充当
    2. 債務者の指定による充当
    3. 債権者の指定による充当
    4. 法定充当
      1. 弁済期にあるものを優先
      2. 弁済期にあるものが複数あるときは、債務者のために弁済の利益が多いものを優先
      3. 弁済の利益が同じときは、弁済期が先に到来したものを優先
      4. ⅱ, ⅲが等しい場合は、各債務額に応じて充当
    充当に関して合意がない場合は、次に弁済者の指定が優先されます。この際、債権者は異議を述べることはできません。したがって、賃借人の指定どおり、前月分の滞納賃料に充当しなければなりません。
  4. 誤り。賃料の滞納に関して、賃貸住宅管理業者が行うことができる対応は、一般に賃料の督促までの段階に限られます。賃料の支払いについて争いが生じた場合の交渉や、賃借人に対して訴訟を提起する行為は法律事件に該当するため、弁護士又は弁護士法人でない者が取り扱うことはできません(弁護士法72条)。
したがって正しい記述は[2]です。