賃貸不動産経営管理士過去問題 令和7年試験 問29

問29

借地借家法第32条に定める賃料増減請求権の行使に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  1. 普通建物賃貸借契約で、賃料改定は協議により行うという特約がある場合でも、当事者間で協議が調わないときは、賃貸人は、賃料増額請求権を行使することができる。
  2. 定期建物賃貸借契約で、契約期間中は賃料の増減をしないという特約があるときでも、賃借人は、賃料減額請求権を行使することができる。
  3. 賃貸人が賃料増額請求権を行使した場合において、賃借人がその請求が到達してから1か月以内に異議を述べなかったときは、賃料は、請求到達後1か月が経過した時点から増額される。
  4. 賃借人が複数の場合、賃貸人による賃料増額請求権行使の通知が賃借人の一部に対してなされたときでも、賃貸人はすべての賃借人に対し、増額後の賃料を請求することができる。

正解 1

問題難易度
肢152.3%
肢215.4%
肢314.9%
肢417.4%

解説

  1. [正しい]。土地建物の価格や負担の増減その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の借賃と比較して賃料が不相当になったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は借賃の増減を請求することができます。ただし、一定の期間、借賃を増額しない旨の特約がある場合は、それに従います。
    本肢の特約は、上記の例外に該当しないため、原則どおり、賃貸人は賃料増額を求めることができます。借賃の増減額を請求するのに、事前の協議は求められていません(借地借家法32条1項)。
  2. 誤り。定期建物賃貸借では、賃料の改定に関する特約がある場合、その内容が優先されます。「契約期間中は賃料の増減をしない」という特約も有効であるため、賃借人は、賃料増減額請求をすることはできません(借地借家法38条9項)。
  3. 誤り。賃料の増減額請求権は「形成権」であるため、請求の意思表示が相手方に到達した時点で効力が発生します。相手方がこれに異議を述べた場合でも、次の手順を経て賃料が確定し、その賃料は、請求の到達時点から適用されることになります(最判昭32.9.3)。
    1. 当事者間の協議:当事者間で話し合いを行う
    2. 調停:❶で解決しない場合、裁判所が関与した話し合いで新賃料額の合意を目指す(調停前置主義)
    3. 訴訟提起:❷で解決しない場合、訴訟を提起して紛争解決を目指す
  4. 誤り。賃貸借契約の賃借人が複数の場合、賃貸人が賃料増額の請求をするには、賃借人の全員に対して増額の意思表示を行う必要があります。その意思表示が賃借人の一部に対してされたにすぎないときは、これを受けた者との関係においてもその効力を生じません(最判昭54.1.19)。
したがって正しい記述は[1]です。